第17章 激突、ヒーロー殺し!
動かない身体を必死に動かそうともがく。目の前で倒れている緑谷君も私と同じように必死にもがいている。すると、緑谷君の身体がぴくりと動いたのが見えた。瞬間、背後から氷の斬り刻まれる音が聞こえた。
「己より素早い相手に対し、自ら視界を遮る……愚策だ。」
「そりゃどうかな。」
ぶわりと熱風が髪をなでる。けれど、一瞬でその熱が掻き消えた。どうして?それに、ほぼ同時に小さく息を飲むような声が聞こえた気もする。……まさか、焦凍が攻撃を受けた?はらはらしていると、緑谷君の足が地面をぐっと踏みしめて飛ぶのが見えた。そして聞こえてきたのはコンクリートをガリガリと削るような音。緑谷君が動けた。この個性、意外と効果時間が短いのか!
「緑谷!」
「なんか普通に動けるようになった!!」
「時間制限か。」
「いや、あの子が一番後にやられたはず!俺はまだ動けねえ……」
個性が解除された緑谷君を見て、焦凍とプロヒーローの人がヒーロー殺しの個性についての考察を口にする。そして、そうしている間にも戦いは進む。前線へ出たらしい緑谷君に下がれ!と焦凍が叫ぶ声と氷結の音が聞こえてくる。
「血を取り入れて動きを奪う。僕だけ先に解けたってことは、考えられるのは3パターン。人数が多くなるほど効果が薄くなるか、摂取量か、血液型によって効果に差異が生じるか……」
咳きこみながらそう口にする緑谷君に、私達がそれぞれ血液型を申告していく。プロヒーローがB、私と飯田君がAだ。それを聞いていたヒーロー殺しは、知られてもどうにもならないからか、あっさりと緑谷君の説――血液型で効果が変わることを認めた。
「さっさと三人担いで撤退してえとこだが、氷も炎も避けられる程の反応速度だ。そんな隙みせらんねえ。」
「プロが来るまで近接を避けつつ、粘るのが最善だと思う。轟君は血を流しすぎてる。至情さんのようにとまではいかないけど、僕が奴の気を引きつけるから後方支援を!」
「相当危ねえ橋だが……そだな。二人で守るぞ。」