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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第17章 激突、ヒーロー殺し!


 焦凍の返した答えに、はっとする。緑谷君は、基本的に慎重派だ。もしヴィランを見かけたとしても、戦うなんてせずに近くのヒーローを呼ぶなり警察に通報するなりするはず。でも、それができなかったら?……携帯を見なくても送れる位置情報だけ送って、クラスの誰かに通報してもらおうとする。

「エンデヴァーさん!私も焦凍を追います!」
「待て、奏!!!」

 突然焦凍の“頼りにしてる”というデレを喰らって固まっているエンデヴァーさんにそう叫んで、私も焦凍の後を追って走り出す。当然後ろからエンデヴァーさんが制止の声を投げかけてくるけれど、ごめんなさい。今は無視させてもらいます!
スタートダッシュが遅れたせいで焦凍の背中が遠い。焦凍に追いつくために、目の前に円を作って飛ぶように走る。隣に並ぶと、焦凍が鋭い目で私を射抜いた。

「奏、お前も来たのか……!」
「緑谷君が心配だし、それに焦凍の相棒だからね!騎馬戦ではしてやられたけど、私だってちゃんと戦える!」

 私が来たことで複雑そうな顔をする焦凍に先手を打つ。大口叩いた騎馬戦では焦凍に鉢巻きを取られてしまった。でも、だからって戦えないなんて言ってない。私だってヒーローだ。戦える。そう焦凍に訴えかけるように見つめ返すと、焦凍は眉を下げてちょっと複雑そうな顔をした。

「……わかった。無理はするなよ。」
「うん。焦凍こそね。」

納得してもらったことだし、とにかく目的地に向かってひた走る。ショートカットの為に細道を走り、路地裏を走って大体2,3分。私達は緑谷君が送ってきた位置情報の場所――江向通り4-2-10に辿り着いた。この通りの細道に緑谷君がいるはず。

「ちくしょう!!やめろ!!」
「!緑谷君の声……!」

 声の聞こえた路地裏に二人して駆け込む。目に飛び込んできたのは倒れた飯田君。そして、彼に刃を向けるヴィランの姿。それを確認した焦凍は、氷結と炎を相手に向けて放った。炎が視界を遮っている間に、私は人魚姫を呼び出して焦凍の後ろへ控えさせる。

「次から次へと……今日はよく邪魔が入る……。」
「緑谷、こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ。」
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