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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第16章 いざ、職場体験へ!


 いつの間に顔を寄せていたのか、気が付いたら目の前に焦凍のドアップ。あまりにも近すぎる距離に思わず後ずさろうとするも、背中にはエレベーターの壁がある。ぐいっと焦凍の胸を押して離れさせると、少し納得いかなさそうな顔をされた。解せぬ。
 エンデヴァーさんも乗っているエレベーターの中で騒がしくするのも気まずいから、そっと内緒話をするように焦凍に耳打ちする。

「……飯田君の職場体験先、確か保須だった気がして。」
「飯田が保須に?ヒーロー殺しを追ってか?」
「それはわからないけど、ただの偶然じゃなさそうで……。」

 私の心配がちゃんと伝わったようで、焦凍の眉間にもしわが寄る。けれど、すぐにそのしわを消すと、すっと前を向いた。

「……飯田のことは心配だが、俺達も保須に行くんだ。なんとかなんだろ。」
「……うん。そうだね。」

 励ますように焦凍に背を軽く叩かれて、私も前を向く。チーンと軽い音がしてエレベーターの扉が開くと、最上階とは違って普通のオフィスビルの一角があった。エンデヴァーさんに続いて入った部屋の一室には、サイドキックの人達とパソコンの前に座った数人の事務員さんがいた。

「明日からしばし保須に出張する!!市に連絡しろぉ!!」
「はいっ!」

 返事を返し、保須市へと連絡を取り出した事務員さんをそのままに、私達とその場にいたサイドキックの人達は隣の会議室へと集められた。エンデヴァーさんの隣に立ったサイドキックの人がこの場にいる全員へと手に持った書類を手渡していく。その書類に書かれていたのは、今現在警察が把握しているヒーロー殺しについての情報だ。

「今世間を騒がせているヴィラン、“ヒーロー殺し”を叩く。お前達も知っているだろうが、ここにいる二人は雄英から職場体験を受けに来ている。焦凍、奏、お前たちのヒーロー名を紹介しろ。」
「……雄英から来ました、ショートです。よろしくお願いします。」
「同じく雄英から来ました、フローナイトです。よろしくお願いします。」

 焦凍と一緒に一礼すると、サイドキックの人達が暖かく迎え入れてくれた。
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