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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第16章 いざ、職場体験へ!


 言われてみれば、確かにヒーローがやってるCMやドラマは何度か見たことがある。あんまりヒーローらしくないなぁって思っていたけれど、歩合制ならこうした副業をした方が事務所的にもありがたかったりするのかも。焦凍はそういったメディアからの要望が沢山きそう。そう思ってちらりと隣を見ると、私を見ていたらしい焦凍と目が合った。すると、焦凍がふっと薄く、嬉しそうに笑う。
なんで……!?どうして見られているのかわからないのと、微笑んだ顔がめちゃくちゃ綺麗で、慌てて威圧感たっぷりに説明を続けているエンデヴァーさんの方へと戻す。焦凍に言い所を見せようと張り切っているらしいエンデヴァーさんは、どうやらさっきのやり取りには全く気が付いていないようなのが幸運だったかもしれない。

「説明はこの辺りでいいだろう。早速だが、明日は出かけるぞ。帰ったら遠出する準備を整えろ。」
「は……?どこに、何しに?」

 私に微笑みかけた人と同一人物だとは思えないくらいの刺々しい声で焦凍が問う。エンデヴァーさんに対する焦凍の塩対応はいつものことだから特に気分を害した様子は見せず、エンデヴァーさんは社長室の扉へ手をかける。

「保須だ。前例通りなら、保須に再びヒーロー殺しが現れる。」

 ついてこい。振り返らず私達にそう言って社長室から出ていったエンデヴァーさんを二人で追う。保須市……どこでだろう、最近どこかでその市の名前を聞いた覚えがある。
ずんずんと歩くエンデヴァーさんを追ってエレベーターに乗りながら、指名リストを教室でめくっていた時の記憶を必死に呼び起こす。……そうだ、飯田君だ!確か緑谷君に行先を聞かれて保須へ行くって言っていた気がする。
 ヒーロー殺しが現れる可能性の高い保須市に、ヒーロー殺しに恨みを持つ飯田君がいる。これは偶然?それとも――

「……どうした。眉間にしわ寄ってるぞ。」
「わっ……!ち、近い、焦凍……!」
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