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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第16章 いざ、職場体験へ!



「仲のいいあいつらでもダメなら、俺達にできることはねぇ。行こう。」
「……そうだね。」

 仲がいいから言い辛いのか、それとも飯田君に言う気がなかったのか。傍にい続けることしかできなかった私には、わからない。ほんの少し後ろ髪を引かれるような思いをしながら、私達もホームを後にした。

――

 がたん、がたん、としばらく電車に揺られて辿り着いたのは、どんっとそびえ立つ大きなオフィスビル。看板にしっかりと刻まれた“エンデヴァーヒーロー事務所”の文字が、このビル丸ごと一つを事務所として使っていることを表していた。
流石、No.2ヒーロー・エンデヴァーの事務所……。スケールがデカイ。若干気圧されている私とは正反対に、焦凍は涼しい顔をしながらビルへと歩いていく。それに続くように、どきどきしながら私もエントランスに足を踏み入れた。
中は外観から予想できる通りの内装で、入ったらまず最初に受付が目にはいる。受付に進んで職場体験を受けに来たことを告げると、顔を上げた受付嬢はイケメンな焦凍を見てあら!と言わんばかりにぱっと目を輝かせた。けれど、そこはプロ。すぐに表情を取り繕って少々お待ちください、と手元の内線で事務所内のどこかと連絡を取る。
しばらく通話した後、受付嬢は受話器を置いて私達ににっこりと微笑んだ。

「お待たせいたしました。最上階の社長室にてエンデヴァーさんがお待ちしておりますので、そこまで案内させていただきますね。」

 カウンターから離れた受付嬢は、スタッフルームを経由して私達の元へとやってくる。そして、彼女に案内されるままエレベーターに乗って、最上階まで昇る。エレベーターのドアが開いくと、そこにあったのはどこかの高級ホテルかと思う程の内装と赤いカーペット。日本家屋の豪邸に住む轟家にお世話になっているとはいえ、感覚は庶民(のはず)な私。もの凄い場違い感にはらはらしながら赤いカーペットの上を歩いていく。
カーペットの先にあるこれまた立派な扉を受付嬢がノックして、開ける。会議室にでも使えそうな程広い社長室にエンデヴァーさんがいた。
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