第15章 束の間の平穏
プロの活動を体験。そしてヒーロー名。胸が熱くなるようなイベントが目白押しにされて黙っていられるようなクラスじゃない。浮かれるクラスに釘を刺そうと口に出した言葉は、勢いよく入ってきたミッドナイトによって奪われていた。
しっかりと相澤先生から注目を奪ったミッドナイトは惜しげなくR18ヒーローとしてのスタイルを見せつけながら相澤先生と交代する形で教卓に立つ。
「まぁ、そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。将来、自分がどうなるのか。名を付けることでイメージが固まり、そこに近づいてく。それが、“名は体を表す”ってことだ。“オールマイト”とかな。」
説明が終わって、自分のヒーロー名を書くためのボードとマーカーが配られる。砂糖君に回してもらったボードを受け取りながらヒーロー名をどうするかを考える。
自分がどうなりたいのか、か……。将来、焦凍の頼れるサイドキックになりたいとは思っているけれど、それを上手く名前にできる自信はないなぁ。体育祭でついた印象も、ヒーロー名を覚えてもらうためには必要なんだろう。ただ、それだと私は多分人魚だよね。
「じゃ、そろそろできた人から発表してね!」
うーん、と唸りながらボードを睨みつけている間に時間が経っていたらしく、ミッドナイトが衝撃の言葉を言い放つ。発表形式、だと!?とクラスに動揺が走る中、トップバッターで教卓に立ったのは、若干(?)ナルシストの気がある青山君だ。
「行くよ……。輝きヒーロー、“I can not stop twinkling.”!」
「短文!!!」
青山君が自信ありげに掲げたボードに書かれたヒーロー名は、まさかの短文!名前として異色過ぎるそれにクラス中が驚きを隠せずにいた。けれど、流石はミッドナイト。ちっとも動揺を見せず、それどころか「そこはIを取ってCan’tに省略した方が呼びやすい。」とアドバイスを入れている。……というか、短文でいいの!?