第3章 合否通知
オールマイトに褒められるイベントで喜ばせてくれたと思いきや、その実本人がびっくりしたことを共有したかったという理由。そうね、焦凍って実はオールマイトの隠れファンだもんね。嬉しかったんだよね。そういう所もかわいくて好きですよ。
ちょっぴり嬉しそうにしていた顔が、私の反応を見て何か間違えたらしいと察してしゅんとする。なんともかわいらしい反応に垂れ下がる猫耳を幻視しながら、私は気にしなくていいよと返すしかなかった。
「とりあえず、受かったことを冬美さんに伝えてくるね。」
「奏。」
ちょいちょいと手招きされ、一度離れた机の方へ寄る。すると、私の口元に丁寧に筋までむかれたみかんを差し出してきた。
「合格おめでとう。これからもよろしくな。」
「ありがと、焦凍。こちらこそよろしくね。」
差し出されたみかんをありがたく頂いて、冬美さんに首席合格を伝えるために部屋をでて探しに行く。今はどこにいるかな。居間か冬美さんの部屋かな。とりあえず、一番近い冬美さんの部屋からノックをすることに決めて部屋の前に立つ。軽く扉を叩いてみたら、すぐに返事が返ってきた。
「はいはい。あ、奏ちゃん。なにかあった?」
「冬美さん!聞いてください、雄英の一般入試……首席合格しました!」
「うそ!おめでとう!今日はごちそうつくらなきゃ!」
ぱぁっと表情が華やいで私を抱きしめてくれる冬美さんに私も抱きつき返す。焦凍のお母さんが入院してしまってから、私と焦凍をそばで支え続けてくれた人。ほんと、感謝してもしきれない。きゃあきゃあと喜びながら思う存分ハグを堪能する。
「ねぇねぇ。何食べたい?奏ちゃんの好きなもの沢山作るわ!」
「冬美さんのご飯なんでもおいしいですから、悩んじゃいますね。」
「ほんとう?ふふ、嬉しい。あ、めでたいことがあったんだから鯛でも買っちゃおうか!」
「鯛ですか!」
「ええ!そうなると、お刺身かしら。焦凍も合格してるし、そばもつけたら喜ぶわよね。」
「じゃあ、それに天ぷらもリクエストしちゃっていいですか?」
「勿論!じゃあ、さっそくお刺身と天ぷらの材料買ってこなきゃ!」