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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第14章 体育祭の終わりと、スタートライン



「そうか。轟から聞いたかもしれんが、これから表彰式がある。せっかくの3位だ。動けるようなら参加しとけ。」
「わかりました。」

 先生の口ぶりからして3位決定戦はなく、私と飯田君が同じ3位という扱いらしい。何にせよ、雄英体育祭で3位という成績は決して悪い物じゃない。後は、エンデヴァーさんがこれで満足してくれるかどうかなんだけど……それは、考えてても私にわかるはずがない事。
 とりあえず、上半身をまずは起こそう。そう思って身体にぐっと力を入れる。すると、まだ私が動くのは心配らしい焦凍がサッと私の背中に手を添えて、起こすのを手伝ってくれる。一瞬、介護されるおばあちゃんが脳裏を過ぎったけれどそれを口に出すことはせずに焦凍にお礼を伝えた。

「……なぁ、動くのしんどいんじゃねえか?俺が運ぶか?」
「いや、流石にそれはちょっと恥ずかしい。」

 忘れちゃいけないが、今は日本が熱狂する雄英体育祭の真っ最中。その表彰式ともなれば、当然テレビにも映る。焦凍がどう私を運ぶ気なのかは知らない。知らないけど、万が一お姫様抱っこなんてされてみろ。女の子からの視線が、やばくなる。後ろから刺されるような案件は避けたい。
眉を下げ、俺に運ばせろと顔で訴えながら手を差し出してくる焦凍を宥める。ちゃんと動けるから大丈夫、と重たい身体を気合で動かして見せれば焦凍も渋々と手を下ろした。

「でも、至情さんが起きてくれてよかったわ。3位が誰もいない表彰式だと、ちょっと寂しいもの。」

 ミッドナイトの言い方に違和感を感じて首を傾げる。私が出られなくても、飯田君がいるはずじゃないの?

「飯田君はどうしたんですか?彼も3位ですよね。」
「ああ、至情さんは寝ていたから知らなかったわね。実は、飯田君のお兄さん“インゲニウム”がヴィランにやられてしまったの。今、飯田君はお兄さんの運ばれた病院の方へ向かっているわ。」
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