第13章 対決、爆豪
『至情!自身を囮にして人魚姫の一撃を爆豪に当てたぁ!!!これ、二人して潰されてねぇか!?大丈夫か!?』
プレゼントマイクの声を、朦朧とする意識を必死で繋ぎ留めながら聞いていた。ふらつく足を必死に奮い立たせ、じっと人魚姫の手が落ちた場所を凝視する。
人魚姫の手のひらが私と爆豪君を圧し潰そうとした瞬間、私は得意の高速移動で範囲外へと移動した。けれど、体力もエネルギーも尽きた身体はもう一歩も動かせない。核石は酷く熱を持っていて、じんじんとした痛みを私に伝えてくる。限界を超えた一撃、私にできる唯一の“Plus Ultra”だった。これで、倒れていなかったら――
「……最後の一撃だけは、褒めてやんよ。」
土煙の向こうから聞こえてきたのは、思いのほか元気そうな爆豪君の声で。その声で私は悟る。――負けちゃったんだな、と。
白い土煙に写る黒いシルエットが、徐々にはっきりとしていく。人魚姫の一撃をギリギリで躱したのか、ジャージは結構ボロボロだ。けど、私に向かってゆっくりと歩いてくる爆豪君の足取りはしっかりとしている。
「削り切れなかったとか、本当に体力お化けだね爆豪君は……。」
「何度も言ってんだろ。てめぇの攻撃が、軽ぃんだよ。次やるときゃ、もっとテクニック磨くんだな。」
「――そうだね、そう、するよ。」
使用限界を超え、体力も気力も使い果たした身体はかくりと力を失ってコンクリートの上に沈む。必死に繋ぎ留めていた意識も黒い闇に誘われていくようにゆらりと落ちていった。
――