第13章 対決、爆豪
「っ、目が……」
薄目を開けてみるけれど、まだチカチカとしていて何も見えない。……焦っちゃダメ。ろくに動けなくても、人魚姫による援護射撃があるから私への攻撃は難しいはず。
目を閉じて回復するのを待とうとした時に聞こえた爆発音に心臓が驚く。でも、その音はずいぶん遠くから聞こえる。爆豪君は、一体何を?
『おおい、爆豪どうした!?至情を狙わず、人魚の方を爆破した!?』
嘘、もう私の個性を把握したの!?霞む目を開いて見えたのは、ゆったりとサーベルを振るいながら逃げようとする人魚姫に向かって爆破を当てている爆豪君の姿。
「ダメ……。避けなさい、人魚姫!」
逃げに専念するように指示を出すけれど、人魚姫の身体は大きくて俊敏には動けない。小回りの利く爆豪君の爆破による飛行から逃げ切ることができず、人魚姫の身体がどんどん傷ついていく。その傷を修復しようと、核石からエネルギーが勝手に吸い上げられていく。このままじゃ、私が個性を使えなくなる!苦渋の決断だけど、ここで戦う手段を失うのはまずいと判断して核石と人魚姫の接続を切った。
エネルギーが切れ、まるで泡になるように消えていく人魚姫を見た爆豪君はしたり顔で笑った。
「やっぱな。あの人魚を呼んでから、てめぇ自身はあの円を使ってねぇ。“人魚を召喚する個性”だって言うなら、てめぇがあの円を使うには“人魚の部分召喚”で個性を借り受けてんだろ?」
相澤先生の説明でも言っていた部分だ。そして、戦いで分析されたであろう箇所もあっている。だけど、それだけで人魚姫を攻撃する理由にはならない。どうして、爆豪君は人魚姫を攻撃することが最適であると考えたの!?
「個性把握テスト。あんとき、許可取ってまで人魚を消すのを躊躇してただろ。一度呼んじまえば、てめぇに負担はかからない代わりに、呼び出すのに負荷がかかるんじゃねぇのか?そんで、その負荷は個性をちびちび使うよりも重い。
人魚を呼びだした後に負荷がかからねぇなら、なんでテストん時みてぇに自分でも個性を使わねぇのか。……万が一人魚に攻撃が当たっちまった場合、維持するのにコストがいるんじゃねぇか?だから、攻撃が当たりにくい場外に人魚を待機させた。」