第13章 対決、爆豪
「くっ、捉えられた……。」
「……はっ、ようやく目が慣れてきた。次から、ぶち当てる!」
前へ手を突き出し、にやりと悪人面で笑う爆豪君と目が合う。自信満々だし、多分本当に次から当ててくる。……ほんと、相手にするのが嫌になる相手だ。なら。
「……人魚姫、援護。」
人差し指を爆豪君に向ける。鉄を擦り合わせるような音を微かに立てながら、人魚の周りを浮遊していたサーベルの先端が一斉に爆豪君の方へと向く。一斉に向けられた刃に、爆豪君の表情が引きつった。
「痛い思いしたくなかったら、しっかり防いでね。」
「ふざけんな!」
並んだサーベルの内一本が射出される。ちゃんと避けられるだけのスピードにしているから、簡単に爆豪君はサーベルを避けてみせる。元々、こちらにサーベルを当てる気なんてない。でも、サーベルで気を逸らしてしまえば――
「こうしてまた、攻撃を当てられる。」
「ぐあっ……」
サーベルを避けて意識が逸れた瞬間に一撃を入れ、またサーベルが飛んでくる。私の一撃と飛来するサーベルを比べたら、当然当たりたくないのはサーベル。サーベルへ意識を集中させざるを得ない状況下では私の攻撃を避けるなんて無茶。
『爆豪に向かって次々とサーベルが撃ち込まれていく!爆破でサーベルを吹っ飛ばすのが精一杯か!?爆豪、なすすべなし!!!』
飛んでくるサーベルを回避、あるいは爆破していく爆豪君にひたすら攻撃を加えていく。倍近く増えた運動量に、化け物じみた体力にも限界が見え始めたらしい。背中に入れた一撃で、爆豪君がようやく膝をついた。
「これで、とどめ!」
上空でふわりと一度宙返りし、無防備になった背後に踵落としをお見舞いしようと加速する。私の声に反応してこちらを見た爆豪君の顔に見えたのは、疲れを突かれた焦りなんかじゃない。今までに何度も見た、あの悪人面だった。
「閃光弾<スタングレネード>!」
両手を合わせた状態から繰り出された爆破に威力はない。けれど、その手から放たれた強烈な光が油断を見せてしまった私の目を焼いた。急激に視界が白く染まり、何も見えなくなる。見えないままで振り下ろした足には当然のように手ごたえがない。どこから攻撃されてもいいように身構えるけれど、攻撃が飛んでくる様子もない。