第13章 対決、爆豪
「さぁ、目で追えるものなら追ってみなよ!」
目の前の円に飛び込んで加速する。直線的に攻めるのではなく、無数の足場を利用した不規則な軌道を描くことで、予測による攻撃の回避を許さない。警戒し、視線を巡らす爆豪君の背後からこめかみを狙って蹴りを放つ。死角からの一撃は綺麗に決まり、爆豪君はぐらりと体勢を崩す。けれど、それだけで倒れてくれないのが爆豪君。瞬時に私の方へと手のひらを向けてくる。
ボン!と手のひらが爆発する瞬間に合わせてバックステップで背後に作らせた円へと飛び込み、瞬時にフィールドの端まで退避する。しっかりと一撃を決めたはずなのに、ふらついているようには全然見えない。ちょっと、タフにもほどがあるんじゃないかな。頭への一撃だよ?
「ちっ、はえぇ……。」
「しっかり当てたはずなんだけどなぁ。どんだけタフなの、爆豪君。」
「てめぇの攻撃が軽ぃだけだわ。アホか。」
戦意を失うどころか、苛立ちを煽ってしまったようで両手で爆破を繰り返している。でも、私にこれ以外を取る選択肢はない。私は、もう一度爆豪君に向かって飛んだ。
節約なんて一切考えず、思う存分に“エネルギー操作”を用いて爆豪君を翻弄する。ドーム内では絶え間なく青い円が散り、そしてまた作り出されていく。青い軌跡を作りながら、ただひたすら動きを止めずに縦横無尽に飛びまわる。
海の中で人が上手く動けないように、爆豪君も円の広がったこのフィールド内じゃ私には止まって見える。私を捉えようとがむしゃらに振るわれる腕と爆破を紙一重で躱し、がら空きになった脇下やお腹、足元を狙って一撃、一撃を的確に叩き込む。爆豪君をふらつかせる一撃が打てないなら、ひたすら攻撃を当て続けて体力を削り切る!
『爆豪、必死に反撃しているようだが一撃も当たらない!一方的に殴られまくっている!!』
硬い。何発も攻撃を当てているのに、ちっとも倒れない!一撃を入れれば後ろに数歩後ずさるから、ダメージが入っているのは確かなはず。なのに、ちっとも体力を削れている気がしない。……どんだけタフなの、本当に!
苛立ちに任せ、死角になった真横から脇腹を蹴りつける。数歩よろめき、がら空きになったお腹へ追撃を入れようと踏み込んだ瞬間、衝撃で後ろに吹っ飛ばされた。