第13章 対決、爆豪
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フィールドに上がり、爆豪君と互いに向かい合わせになる。元々つり目の爆豪君だけど、テンションが上がっているようで更につりあがっているように見える。流石、好戦的な性格してるだけある。それだけならまだ楽なのに、戦闘センスも頭の良さもあるおかげで相手の弱点を突く戦いを得意としている。
私の得意とする高速戦闘も、弱点がない訳じゃない。円というわかりやすいマーカーを必要とする個性だからこそ、読みやすさもある。だから、多分爆豪君は私の姿を捉えきれなくても上手く爆破を私に当ててくる可能性もある。油断は大敵だ。
「てめぇを殴れるのを待ってたぜ、金魚の糞。飼い主みてぇに舐めプなんぞしやがったらぶっ殺す。」
「私には至情奏って名前があるんだけどなぁ。」
「だれが金魚の糞なんざの名前を呼ぶかよ。」
『さぁ、また女子との戦いだ!好成績を出している至情!これは期待できるか!?』
『私情を挟むな、馬鹿。』
『準決勝、爆豪勝己VS至情奏……START!!』
開始の合図とともに、私は自分の前と爆豪君の背後に円を作る。そして自分の前の円を通って爆豪君の目前へと接近し、瞬時に左側へとターンするように避ける。すると、私がついさっきまでいた所に派手な爆破がお見舞いされる。
ターンで避け、身体の動きに任せるまま一撃を入れようとするけれど、爆豪君はすぐにその場を離れて距離を取る。……攻撃を避けられたと判断してからの行動が、早い。
『早速攻撃を仕掛けにいった至情!爆豪のカウンターを避けて更に攻撃をしかけるも、避けられた!』
判断も反射神経も早いとなると、このまま攻撃を続けてもパターンを読まれて回避される確率が高くなっていく。そう思えるだけの才能が爆豪君にはある。……なら、やっぱり切り札を早々に切ってしまう他にない。私が勝つには、“何もさせない”のが一番なんだから。