第12章 轟焦凍 オリジン
ずっと伝えたかった言葉は、緑谷君の言葉で焦凍に届けられた。もう、あの言葉は私のものじゃない。きっと、緑谷君もあの瞬間同じことを思ったからそう言ったんだってわかるから。
『よーし!ぶっ壊れたフィールドもようやく補修が完了!待たせたな、オーディエンス!早速次の試合を始めていくぜぇ!!A組とB組の戦いだ!飯田VS塩崎、START!!』
焦凍と緑谷君の手で派手に壊れたフィールドの補修が終わって、次の試合が始まったらしい。セメントス先生の個性があってこその早業だなぁ。試合をしているのは飯田君。きっと終わるのも早いから、私も控室に行っておかないと。
「いつ次の試合が終わるかもわからない。早めに控室に行っておくことをおすすめするよ。」
「そうですね。……あの、もし私がここに戻るよりも先に緑谷君が観客席の方へ戻るようなら伝えておいてくれませんか?ありがとうって。」
「それは構わないが……」
私が言っていいのか?と言いたげに眉を下げた骸骨の人に苦笑する。この人も、緑谷君みたいな優しい人なんだろうな。
「自分の口で伝えた方がいいってわかってます。後で私からも言うつもりです。ただ、早くこの感謝を伝えたい。本当に、嬉しかったから。」
「……後で君自身からも伝えるのなら構わないよ。さぁ、遅れてしまう前に行った方がいい。」
「はい。……ありがとうございます。」
ぺこりと一礼して、控室の方へと向かう。それにしても、関係者以外立ち入り禁止になっている保健所まで入ってこれるって……あの人は誰なんだろ?緑谷君の怪我が酷いから親戚の人が来たとか?それにしては似てないけれども。好奇心から、つい緑谷君とあの骸骨のような人の関係性を推察しようとしてしまう。こういうのはよくない。気合を入れる意味も込めて、ぺちんと頬を叩いた。