第12章 轟焦凍 オリジン
「……緑谷、ありがとな。」
この試合が終わったら、奏にも謝らねぇと……。そう思いながら左の炎を解き放った瞬間、目の前で大爆発が起こった。
咄嗟に自分が吹き飛ばされないように周囲を氷壁で覆って必死に衝撃から耐える。コンクリートで作られたフィールドがめちゃくちゃに壊れ、瓦礫が四方八方に吹っ飛んでいく。
『何今の……。おまえのクラス何なの……。』
『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され、膨脹したんだ。』
『それでこの爆風てどんだけ高熱だよ!ったく、何も見えねー!オイこれ勝負はどうなって……』
フィールドを覆いつくした水蒸気の煙と土煙がゆっくりと風に流されて、少しずつ露わになっていく。目に入ったのは、壁に身体を預けるようにして気を失っている緑谷だ。
『緑谷君、場外。轟君、三回戦進出!』
そこら中から聞こえてくる歓声を浴びながら、ロボット達に運ばれていく緑谷を目で追う。随分身体を酷使していた。……無事だといいんだが。
俺も、ずっとここにいる訳にはいかない。ゆっくりと踵を返して会場へ戻るゲートをくぐる。通路の途中、予想はしていたがクソ親父が道を塞ぐようにそこに立っていた。
「……。」
「……“邪魔だ。”とは言わんのか。左のコントロール……ベタ踏みでまだまだ危なっかしいもんだが、子供じみた駄々を捨ててようやくお前は完璧な“俺の上位互換”となった!」