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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第11章 チアリーダーと、シリアスと、ガチバトル


 全く、人のプライバシーをぺらぺら喋っちゃだめじゃないですかオールマイト。ちょっと呆れてしまったけれど、終わってしまったことだし何とも言えない。後で、ちょっと文句は言うけども。それよりも、まずはこっちの話を終わらせてしまおう。

「……そうだよ。エンデヴァーさんは、私を焦凍の相手に丁度いいから引き取ったの。だから、小さい頃から傍にいることを許されている。」
「でも、それを至情さんも良しとはしてないよね。そして、そんな君を轟君は信頼してる。そうじゃなかったら、轟君は君を連れて話なんかしなかっただろうし、君だって辛そうに目を伏せたりなんかしない。」

 本当に、人をよく見ている。焦凍の話に集中してたと思っていたのに、私のことも見えていたの。
緑谷君は、ぎゅっと血が滲むんじゃないかってくらいに手を握り締めて私をぎっと睨む。

「だから、余計にわからない。どうして、言ってあげないの。“左は、お父さんの個性なんかじゃない”って。右と左、両方で轟君の個性だ。轟君だけの、個性だ。なのに、轟君は左をお父さんの個性だって、そう言った!ずっと一緒にいた至情さんなら、救けられたんじゃないの!?」
「救けられなかったよ。」

 静かにそう言った私を、怒っているのか、驚いているのか、よくわからない表情をしながら緑谷君は見つめていた。

「緑谷君も言った通り、焦凍は私を絶対的な味方だって思ってくれている。けれど、私は焦凍の味方であると同時に、背後には必ずエンデヴァーさんの影がある。……当然よね。私を引き取ったのはエンデヴァーさんだもの。だから、私が“左も焦凍自身の力だよ”なんて言っても……届きはしないんだよ。」
「……そっか。そう、だよね。あんなに心を痛めてた至情さんが、何もしてない訳なかったんだ。ほんとに、ごめん……。」

 怒りが鎮火するどころか、むしろぶくぶくと沈んでいきそうな勢いで萎んでいく緑谷君を慌てて宥める。怒りを向けられたことに関して、私は微塵も怒ってなんかいない。むしろ、嬉しさすら感じている。緑谷君なら、本当になんとかしてくれるんじゃないかって思える。だから――
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