第10章 騎馬戦、開幕!
「まぁ、俺もそれを知ってどうこうする気はねぇ。ただ、あいつがオールマイトに関連する何かがあるのかを確認したいだけだ。」
「そう……。わかった。なら早い方がいいよ。食堂は絶対混んじゃうから。」
混んでも食べる場所が確保できるよう、先に行こうとゲートの方へ向く。すると、右手首を焦凍に捕まれた。まだ何かあったのかな?半身だけ焦凍の方を向けて、首を傾げる。
「奏も一緒に来てくれ。」
「私も?邪魔になるだけな気がするんだけど……」
「それでも、お前にいて欲しい。」
いやいや、どうしてそんなシリアスになる場所に部外者の私が行くの。そりゃ、焦凍の過去を話すなら私も関係はあるよ?でも大筋に関係ないよね!
行きたくないなーと暗に訴えても、手首はがっちりと握られていて離してくれそうにない。もう、“来てくれ”じゃなくて“来い”だよねこれ!?
「わかった、行くよ。行くから手を離そう?」
「そう言って逃げるかもしれねぇから却下だ。」
「おぅ……」
そのまま手を引かれ、緑谷君を探しにゲートをくぐる。そんなに話し込んだ訳じゃなかったみたいで、目的の人物はゲートを通ったすぐそこにいた。飯田君に興奮した様子で話しかけている麗日さんの二人をのほほんと見ている緑谷君に焦凍が後ろから話しかける。
「緑谷。」
「うぇ!?と、轟君……?それに、至情さんも……」
「お前に話がある。ついてきてくれ。」
「えっ……あ、わかったよ。」
怖々と返事をした緑谷君にくるりと背を向け、さっき通ってきたゲートへと戻っていく焦凍。当然のようにまだ手を離してもらえてないから、私も必然的に焦凍に引きずられるようにゲートへと戻る。後ろから足音がついてきているのが聞こえるから、緑谷君はちゃんと来てくれているらしい。あんなに怖がってたのに、素直だなぁ緑谷君。