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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


 確か、爆豪君が「あいつは無個性だ」って叫んでた気もする。それが本当なら、自分もその周りも“緑谷君は無個性である”と、そう思っていてもおかしくない。
それでもヒーローになる夢を諦めきれなくて、無個性なりに必死に体を鍛えて――そして、漸く身体が個性を受け入れられるようになったとしたら?それなら、個性を扱いきれなくてもおかしくない。扱いきれるほど、まだ身体ができあがってないんだ。
 もしオールマイトが親だったなら、似たような経験をしてるはずだからもっと早くに鍛えて使いこなせるようにしててもおかしくない。焦凍に仮定の話だけど、と前置きして私の説を話す。焦凍は少し考える素振りを見せてからゆっくりと頷いた。

「筋は通ってると思う。けど、隠し子ならどうだ?緑谷のことを学校に入ってから知ったんなら、話は別じゃねぇか?」
「あはは、そんなまさか……」

 ないない、と否定するように手を振るけど、緑谷君のアレコレを思い出してぴたりと止まる。よくよく考えたら、納得すること多くない?父親がオールマイトだって知ったから、遠慮なく監督頼めちゃったとか?
甘い先生だから監督を受け入れたんだとばかり思ってたんだけど、実の息子だったから思わずOKしちゃったとか!?
……そういえば事の発端は緑谷君がオールマイトにお昼に誘われてた所からだよね。もしかして、父と息子の数少ないコミュニケーションのお時間か、暴露のお時間だった!?
あっだめだ、隠し子ならあり得る。あり得るどころか、むしろ正解なんじゃないの?これ。目をかけられた生徒よりも、弟子よりも、説得力ある気がしてきたぞ?

「……うん。なんかリアリティー増してきた気がしなくもない……」
「奏がそう言うだけの何かがあったって思っていいか?」
「詳しくは言えないけど、それっぽい事には遭遇したとだけ言っとく……」

 なんか、クラスメイトと教師のとんでもない事実を垣間見てしまった気がする。私達も含めて、1-Aって闇が深くない?大丈夫?こんな衝撃的事実、予想すらさせないように防衛線張っておいて欲しいんだけど!?
頭を抱えた私を、焦凍が優しく撫でてくれる。ごめんね、焦凍。焦凍にも心の余裕がないはずなのに……。
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