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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


「クソデクァ!!!」

 焦凍の張った氷の壁が吹き飛ぶと同時に爆豪君が現れる。こっちに向かって飛ぶしぐさを見せたけど、一瞬目を見開いた後に体制を変えた。

「半分野郎!!」
「緑谷君!皆!飛ぶよ!」

 上鳴君が許容上限を超えて放電が止まった瞬間を狙って私達も焦凍の方へ飛ぶ。爆豪君の手と緑谷君の手が焦凍の首元目掛けて伸ばされ、焦凍が迎え撃つように鉄パイプを凍らせて構えた。あと少しで、手が届く――

『TIME UP!!!第二種目、騎馬戦終了!!』

 爆豪君は、タイムアップの声と共に墜落。緑谷君の手も、焦凍に届いていない。無情にも、時間が足りなかった。

 騎馬を組んでいる必要性はもうない。意気消沈した様子の緑谷君がふらふらと私達の手の上から降りたのを確認して手を離す。終わっちゃったか……そう思いながら麗日さんと常闇君の方を振り返る。と、ダークシャドウの嘴から覗く白くて長い物。それに書かれた数字を見て、私は思わずダークシャドウに飛びついた。

『んーじゃ、早速上位4チーム見てこうか!――1位!轟チーム!』

 会場が歓声に包まれる。終盤の展開はなかなか熱い展開になったから、観客のボルテージも高い。ただ――思わず左を使ってしまった焦凍の様子が気になる。そっと焦凍達の方を見ると、何とか1位を獲れたと安堵した表情を見せる八百万さんや飯田君がいる中で、焦凍だけが俯いていた。その表情は前髪と影に隠れていてわからない。でも、絶対いい顔はしていないことだけはわかる。やっぱり“使わされた”に近い状態じゃあ、焦凍の意志は揺るがない。焦凍が納得して使わないと、意味がない。

『2位!爆豪チーム!』

 2位を獲ってそこそこ満足そうにしている瀬呂君とは違い、胡坐をかいて地面に座ったまま大絶叫をしている爆豪君の顔は、正直言ってヴィラン顔だ。よほど悔しかったんだろうな……。ついでにいうなら、墜落した時に思いっきり顔打ってた気がするけど……痛くないのかな。

『3位!鉄てt……え!?アレェ?おい!!心操チーム!?いつの間に逆転してたんだよォ!!』

 3位の人の名前が発表されるけど、心操って苗字に聞き覚えはない。個性も顔も知らないけれど、上位に入ってこれるような人だし注意しておかないと。

「デク君?」


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