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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


「無理だよ、常闇君!焦凍と戦ってる時間が長すぎた!ポイントの散り具合がわかってない以上、高得点を持ってる焦凍しか狙えない!」
「よっしゃ!突っ込もう、皆!」

 背後から麗日さんに背を押されて走り出す。ここで飯田君に逃げられるとまずい!真正面に円を作り、一気に焦凍の眼前まで飛ぶ!
真正面に突っ込んだ私達から鉢巻きを守ろうと、焦凍が左腕でガードしようとする。その瞬間、上から圧し潰されるかと思う程の凄い圧を感じた。
――それは、あのUSJの時に感じたものとほぼ同等。“プロの本気を見ていなさい”と、そういって脳無と殴り合った、あのオールマイトと!
焦凍も、同じように感じたのか……ガードするために出した左が、燃えた。

「っ、焦凍……!」

――思わず零した声に、焦凍が目を見開いた気がした。
緑谷君が大きく振りかぶった手が風圧を生み出して焦凍の左手を弾く。がら空きになった首元に巻かれた三本の鉢巻きの内一本をすれ違い際に掴み取り、そして――

「取った……。取ったー!!」
『残り17秒!こちらも怒りの奪還ー!?』

 観客が、終盤間際の奪還劇に熱を上げる。けれど――

「……ん?デ、デク君!その鉢巻き、1000万じゃない!」
「~~っ!やられた……!」

 緑谷君と麗日さんの反応から、取ったのは別のポイント!やってしまった。1000万の一点狙いじゃなくて、ガッツリ首元の鉢巻き全部を取るように進言するべきだった!……焦凍が左を使った事実に、私まで動揺しちゃうなんて。

『ん~緑谷!ポイント奪還ならず!!』
「万が一に備えて、鉢巻きの位置は変えてますわ!甘いですわ、緑谷さん!」

 八百万さんの言葉を受けて、私の肩を掴む緑谷君の手が悔しそうに震える。けれど、打ちひしがれている場合じゃない!

『そろそろ時間だっ!カウントダウン、スタート!!』
「常闇君!」
「上鳴!!」

 緑谷君と焦凍の声に応じて、常闇君と上鳴君がそれぞれに動く。ダークシャドウがまだ近くにいる焦凍の方へ伸び、それを上鳴君の放電が邪魔をする。そのまま続く放電は、ダークシャドウを寄せ付けない。そして、私もあの電気の嵐に飛び込むことはできない。緊張と焦燥が場を満たす。そして――轟く爆発音。
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