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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


 “エネルギー操作”の使用頻度も、思った以上に少なく済んでいる。これなら、制限時間の半分くらいまでなら飛んでいられるかも。そう思いながら円を作ることに集中すると、緑谷君が想定した通り、爆発音が私達を追いかけるように近づいてきた。

「調子に乗ってんじゃねぇぞ!クソが!!!」
「飛ぶよ!」

 騎馬を置き去りに、単騎で飛んでくる爆豪君が右手で大ぶりの攻撃を仕掛けてくる。その攻撃が当たる前に私は円を作り出し、加速することで避ける。目測を外した爆豪君の攻撃が背後で炸裂するのを、爆風と爆音が私に伝えた。

「やっぱりきたか、かっちゃん!」
「避けんじゃねーよ、クソどもがぁああ!!!」
「追いつかれる、至情さん!」

あれだけ派手に爆破したなら体勢が崩れてもおかしくないはずなのに、一体どんな運動神経してるの!?見えてないけど、一瞬で体勢を立て直して追いかけてきているらしい爆豪君をどう撒こうか考える。スピード勝負は私が節約したいから却下。そうなると……

「オラァ、食らえやぁ!!」
「くっ、ダークシャドウ!!」

 爆豪君の追撃を、ダークシャドウが代わりに受け止める。近くで受けた爆破の反動でのけぞった爆豪君を、白いテープが巻き取るのが微かに見えた。
瀬呂君のテープか。脳が状況を理解した次の瞬間には、恐ろしいドップラー効果を伴いながら爆豪君が地上へ勢いよく引き戻されていく。80度くらいに吊り上がった目が遠くなっていくのを、ぽかんとしながら私達は見送った。……なんというか、嵐のようだ。流石(?)爆豪君。
 それからも、爆豪君のちょっかいは止まらない。空を駆けるスピードを一瞬だけ上げて一撃を避けたり、ダークシャドウに迎え撃ってもらったりしている内に何度目かのプレゼントマイクによる実況がスタジアム内に響き渡る。

――そして、残り時間は約6分。爆豪君の襲撃が不思議と治まった時だった。

『な、なんだぁ!?何したぁ!?轟、群がる騎馬を纏めて一蹴ー!』
『上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた。流石というか、障害物競走で結構な数に避けられたのを顧みてるな。』
『ナイス解説!』
「至情さん!下の状況が一変した!」
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