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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


 ミッドナイトが言ったスタートの合図とともに、周りにいた数チームが一斉に私達を狙って駆けてくる。全方位からやってくるから、普通に走るだけじゃ逃げるのは難しい。……私達以外なら、ね。

「いきなり襲来とはな……追われし者の宿命。選択しろ、緑谷!」
「勿論、逃げの一手!お願い、至情さん!」
「OK!しっかり捕まっててね!」

 思い切り地面を蹴って、あえて敵に向かって走る。そして、相手チームとすれ違うように斜め上へと円を連続して作り、その中へ飛び込んでいく。運動エネルギーが円を通る度に加算され、私達の身体は風を切りながら空へと飛んでいく。観客の歓声や驚きの声が、風を切って飛ぶ私達にも届いてくる。
 スピードが緩やかに下がるように調節しながら、円を作り直してフィールド上を旋回する。目当ての1000万が上に逃げ、当てを逃したチームが他のチームへと意識を移していくのを私達は空から見下ろした。

『おおっとー!?ここで早速1000万の緑谷が空を飛んだー!!やりやがったのは、第一種目で人間大砲した至情!てか、1位と2位がチーム組んだのか!?』
『至情の個性は珍しい形の複合型だ。全部言ってしまうとあいつの不利になるから簡単にしか言わんが、少々トリッキーな個性の使い方をすることで“エネルギー操作”の個性を使うことができる。至情は定期的に運動エネルギーを増加させ、落下しない速度を保つことで飛んでる。個性のスタミナが持つ限り、安全な空で待機するんじゃねぇか。』
『ずっと空飛べんの!?轟といい、至情といい……お前のクラスどうなってんだ、イレイザー!?』
『しるか。』

 相澤先生、不利になるってわかっているなら簡単に私の個性をばらさないで欲しかったです。……いや、ポジティブに捉えよう。“飛行できる個性”だって思われたら私の個性の汎用性がアピールできない。プロにちゃんとわかってもらうための説明だと思おう……うん……。

「さて、このまま旋回でいいんだよね?」
「うん。ありがとう、至情さん!」
「あとは、下のチームが互いに体力を削り合うのを眺めているとしよう。」
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