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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


「私の場合は、ちょっとした意地だよ。」
「意地って……轟君と喧嘩でもしたん?」
「喧嘩ってほどじゃないけど……焦凍は強いでしょ?だから、何かあるとすぐに私を守ろうとする。でも、私は焦凍の後ろじゃなくて、隣に立ちたい。焦凍に、“私もちゃんと戦えるんだけど”って言ってやりたいだけなんだよ。」
「……そっか。至情さんは、強いね。」

 私が言ったことは、どこか飯田君の言ったことに通じるものがあると思う。だから、余計に落ち込んだ様子を見せる麗日さんに続けるように言う。

「でも、仲がいいからチームを組むことだって間違いじゃないよ。よく知ってる相手なら、能力だって把握してる。だから、知らない相手と組むより動きやすいと思うよ。」
「そうかな……。」
「そうだよ。それに、多分緑谷君は――」
「二人とも、お待たせ!」

 意外と話し込んでしまったのか、それともスカウトがスムーズにいったのか、どこかに行っていた緑谷君は思った以上に早く戻ってこれたらしい。大きくこちらに向かって手を振りながら、にこやかに私達の方へと歩いてきていた。麗日さんに伝えきれなかったのは残念だけど、仕方がない。緑谷君に手を振り返して、隣にいた人を見て少しだけびっくりした。緑谷君とそんなに話をしている印象もなかったから。

「探してたのって、常闇君だったんだ。」
「うん。常闇君のダークシャドウなら僕達に足りない中距離の防御ができる!」
「そういうわけだ。よろしく頼む、至情、麗日。」
「よろしくね、常闇君!」
「こちらこそ、よろしく常闇君。」

 常闇君が差し出した手を麗日さん、そして私が順番に握って握手する。

「でも、凄いね緑谷君。スカウトの才能あるんじゃない?」
「そ、そんなことは……!?」
「いや、なかなか面白い作戦だった。この俺のダークシャドウを見て“攻撃はしなくていい”と言い切る奴はなかなかいない。」

 ダークシャドウに攻撃をさせない?一番最初の戦闘訓練で、ダークシャドウの強さは緑谷君も目にしていたはずなのに。
気になって緑谷君を見ると、恥ずかしそうに頬をかいた。
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