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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


 なんという偶然か、焦凍と緑谷君の機動力が互いのチームの上位互換になるという皮肉っぷり。目の前で緑谷君のチームに入れてって言ったからかな……まだ焦凍の視線が刺さっている気がする。こっそり緑谷君の後ろへ視線を向けるけど、もう焦凍の姿はない。やっぱり、気のせいか。

「至情さんの動体視力はオールマイトのお墨付きだし、騎手向きだよね。僕が騎馬になっても自在にスピードって出せる?」
「私の作る円の中に入って貰えたらスピードはぐんっと出せるから、進みたい方向さえ教えてもらえれば大丈夫。ただ、安全にスピードを出すとなると緑谷君の動体視力次第になるかな。」
「うっ。そうか、その問題があるのか……。なら、至情さんに騎馬をしてもらった方がよりスムーズだよね。」

 ずっと空を駆け続けるのは、狙われにくくはなるだろうけれど狙われないわけじゃない。万が一地上で走る必要性が出た時のことを考えるなら、私が騎馬の方が色々と都合がいいかもね。
暫く考え込んでいた緑谷君が良しっと一度頷いて、私達に耳を貸して欲しいと話す。緑谷君を挟むように三人で円を作ると、緑谷君は声を小さくしながら私達に考えた作戦を話し始めた。

「基本は空を駆けての逃げ切りを狙う。ただ、かっちゃんなら飛んできて攻撃してくるはずだ。B組の人や、普通科の人の個性はわからないけど、もし遠距離攻撃ができる個性を持っていたら間違いなく妨害は受ける。だから、こっちもそれを弾くことができる中距離の攻撃手段が欲しい。至情さんは人魚を出せたよね。それでなんとかならないかな?」

 ああ、なるほど。人魚姫が私と離れて動くことができるのは個性把握テストの時に見てたんだよね。なら、そういう期待もするか。これが最終種目なら、その案も悪くはなかったんだけど……

「期待してもらっているところ悪いんだけど、ちょっと出せないかな。チームメイトだから話しちゃうけど、私の個性って一日の使用上限があるの。人魚姫はその上限ぎりぎりまで使わないといけないから……ごめんね。」
「いいんだ!この競技だけで終わりじゃないんだし、そういうのもあるよね。そうか、なら中距離での防御ができる個性を持ってる人をチームに入れたいところだ。それができる人は……あの人しかいない!僕、ちょっと誘ってくるよ!」
「あ、デク君!?」
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