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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第10章 騎馬戦、開幕!


 なるほど、確かに凄くいいチームだと思う。焦凍に任せれば、私は確実に次の競技に進めるって確信できる。でも、私はこれに頷いちゃだめだ。だって――

「焦凍、スピードを重視するなら私よりも飯田君の方が適任だよ。勿論、スピード勝負で飯田君に負けるつもりはないし、実際に個性把握テストでも勝ってる。けど、それは個性の消耗を考えない時の話。節約するなら、私は確実に飯田君に劣るよ。……こんなこと、焦凍なら言われなくても分かってたんじゃない?」
「それは……」
「私が心配だった?」

 ばつが悪そうに目線が逸らされる。やっぱり、わかっていないはずがないよね。わかっていながら、焦凍は私に声をかけてきた。思ってくれることは嬉しいし、組みたい気持ちも勿論ある。だって、私は焦凍の相棒だから。でも、今回だけはダメかな。

「ねぇ、焦凍。私は焦凍の相棒だって自負してる。」
「ああ。だから、お前と――」
「相棒は、守られるものじゃなくて隣に立つものでしょ。焦凍の作戦は流石だよ。でも、言った通り飯田君の方が適任で、私じゃない。わかっていながら私を誘うのは、私を残らせるためでしょ。それじゃあ、私は焦凍に守られているだけじゃない。」
「奏……。」
「私は隣に立てるだけの力があるんだって見せてあげる。だから、焦凍に挑戦するよ。」

 ショックを受けた顔をする焦凍が、名残惜しそうに私の腕から手を離す。どうしてもだめか?と言いたげな顔をされるけど、それに苦笑で返せば焦凍も諦めたように目を伏せて私に背を向けた。多分、これからメンバーを勧誘しに行くんだろう。焦凍が相手なら、多分望んだチームが組める。
 ……さて、私にとって都合の良すぎる焦凍の誘いを断ってしまったし、私も誰と組むか考えないと。焦凍の提示したスピードを生かす案はすごくいい。ただ、それだけだと飯田君の下位互換だから、私の持ち味を生かしたい。それを可能にできるのはただ一人、麗日さんだ。さて、どこにいるかな……。
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