第9章 体育祭、開催!
『おおーっと!?狭いゲートで何人も詰まる中、たった一人前に躍り出た!さっき熱い選手宣誓をやってくれやがった至情だーっ!!!』
ゲートを抜けた先に円は作っていない。速度が落ちて緩やかに地面に近づいていくのを姿勢を整えて上手く衝撃を殺し、十分に残ったスピードを生かして走り出す。氷結を感じたってことは、私と焦凍の差はあんまりないかもしれない。振り向くことはせず、手すりに囲まれた道をただ走る。
『速い!速すぎるぜ、至情!後ろを走る轟も速いが、その差は歴然!もう、第一関門に入るってよ!』
一度曲がり角を過ぎた時、やけに開けた場所が目にはいる。開けた場所を埋めるように現れたのは、実技入試で見かけた仮想ヴィランのロボット達。ずらりと横に並ぶロボット達の中には、あの巨大な0pヴィランも沢山いる。
『第一関門、ロボ・インフェルノ!!さぁ、このロボット達をどう攻略する!?』
道を開けないように等間隔に並ぶロボット達は、確かに邪魔だ。けど、決して隙間なく並んでいる訳じゃない。ロボットとロボットの間には人ひとり通れるくらいの隙間が空いている。――隙間があるのなら、私は足を止めたりしない。
『至情、ロボットの群れが目に入ってないのか!?足を止めることなく突き進む!』
目の前に現れた1pロボットが私に向かって腕を振り下ろす。それにあえて一歩前へ踏み込みながら、その足を軸に半身を下げる。私を掴み損ねた腕がすぐ横を掠めていくのを風で感じながら、勢いにまかせるまま半回転。スピンでロボットを避けた私はすり抜けていくようにロボットの隣を走り抜ける。
次に迫ってくるのは巨大な0pの群れ。身体は巨大でパワーも馬鹿みたいにあるロボットだけど、当たらなきゃなんの意味もない。実にゆっくりとした動きで持ち上げられた腕のおかげで開いた隙間を狙って、個性でスピードを加速させながら飛び込んでいく。私の上にロボットの腕が振り下ろされるスピードは、私が隙間を通るスピードに比べたら断然遅い。一瞬の間に私の身体は0pヴィランとすれ違うように駆け抜けた。