第9章 体育祭、開催!
「奏、何やってんだ。」
「あはは、だって焦凍と緑谷君が熱いやりとりしてたからさ。なんだか、私も感化されちゃったかも。だからさ、私本気でやるからね焦凍。」
私らしくない選手宣誓に焦凍が呆れた声で話しかけてくる。そうだよね、普段から空気を悪くしちゃだめだよって言うのは私だもん。でも、挑発的な選手宣誓をしたことに対して後悔はない。どちらかと言えば、やる気が湧き上がってきた。だから焦凍に向かっても挑戦状を叩きつける。すると一瞬驚いたように目を見開いて、優しく笑った。
「……ああ。俺も、本気で行く。」
「宣戦布告したはずなのに、笑顔を返されるとか解せないんだけど。」
「奏が楽しそうだからな。」
「え?」
『第一種目はいわゆる予選よ!毎年、ここで多くのものがティアドリンク!さて運命の第一種目、今年は……』
焦凍に疑問をぶつけようとすると、ミッドナイトの競技説明に遮られてしまう。話したいのは山々だけれど、1位を目指すと豪語した以上はちゃんと説明を聞かないと。
ミッドナイトの方へ視線を戻すと、どういった技術なのか空中にディスプレイが現れて映像のルーレットが高速で回りだす。皆が固唾を飲みながら見守ったルーレットが表示した競技、それは――障害物競走。
『計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周、約4Km!我が校は自由さが売り文句!うふふ……コースさえ守れば、何をしたってかまわないわ!』
第一種目は、障害物競走。そして、コースを外れなきゃ何をしてもOKね……。楽しげにミッドナイトが付け足した言葉を頭の中で復唱する。けど、これは予選だって言っていたしこれから幾つもの種目を乗り越えていかないといけない。そのために、私には考えないといけないことがある。私の個性、その弱点を。