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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第9章 体育祭、開催!


『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る、年に一度の大バトル!どうせ、てめー、アレだろ?こいつらだろ!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!ヒーロー科!1年!A組だろぉお!?』

 これでもか!と盛られに盛られた私達の紹介を合図にスタジアムへと足を踏み入れる。学校にあるのが勿体ないと感じるようなこの巨大な円形のスタジアムはなんと満席。四方八方から大歓声が次々と投げ込まれてくる。
とんでもない人数に見られながらの競技になるのだ。そう認識したらしい皆がガチガチに緊張していくのを焦凍の後ろから眺める。確かに緊張もするけれど、緑谷君と焦凍から与えられた炎は、ただただ私に熱を与えていく。

 次々とプレゼントマイクが1年クラスの紹介をし、主審のミッドナイトが立つ台の前に整列していく。全員の紹介と整列が終わると、ミッドナイトは手に持った鞭をぴしゃりと振るった。

『選手宣誓!代表、1-A至情奏!』

 事前に知らされていた通り、代表として名前を呼ばれる。背筋を伸ばし、凛として見えるよう努めながらゆっくりと階段を上がって台に乗る。後ろから皆が私について話をしているのは聞こえたけれど、今はそれどころじゃない。用意されたマイクの前、一度深く深呼吸をしてから口を開いた。

「宣誓。私達選手一同は、日頃の鍛練の成果を発揮し、正々堂々競技を行い、全力を尽くすことを誓います。」

 爆豪君が前に他の科を煽ったからだろう。めちゃくちゃ普通の選手宣誓の言葉に皆の安堵している雰囲気が伝わってくる。だけど、ごめんね?それを今から裏切るよ。

「――私は、全力で1位を獲りに行きます。だから、1位を獲りたかったら私と言う壁を全力で乗り越えていってください。以上です。」

 一瞬、ぽかーんとした空白が訪れ、次の瞬間には生徒達から巻き起こる大ブーイングの嵐。それに紛れるように、1-Aの皆がいる方向から「至情さんー!?なにやってんの!?」という声が微かに聞こえてくる。台から降りるために振り向けば、想像通りあたふたと慌てているクラスメイト達。それがなんだか面白くて、くすりと笑みが零れた。
ゆっくりと階段を降りて、焦凍の後ろに並ぼうとしたその時、爆豪君から強い視線で睨まれる。その視線に私も挑発的に見つめ返せば、フンと鼻を鳴らされた。
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