第1章 新生活
「はーっ、疲れた。」
結局、たくさん買い物をしてしまった。
このワンピに合う靴も、小物も、と。
この浪費癖はどうにかした方がいいよなあ…。
急にトイレに行きたくなって来た。
コーヒー三杯も飲んだからかな…。
個室に入り、このあとはどうしようと考えていると、隣の個室から声がしていることに気がついた。
「ん…んぅ…ぁ」
吐息のようなあまい声。
「え、喘ぎ声…?」
まさか、とは思いながら少しだけ耳を傾ける。
「はぁ…だめ…気づかれちゃぁ…ぁあっ」
本当に、こんな場所でする人いるんだな。
男子トイレでやってよ…。
呆れながらも、興奮している自分がいた。
そう言えば、葵と別れてから誰ともしてない。
「んんっ…やぁっ…声我慢できな…んうぅ」
パンパンと乾いた音に、卑猥な声があわさって聞いてたら、おかしくなりそう。
早くトイレから出ようとしたところで、自分が濡れていることに気づいた。
「ありえないんだけど…」
他人の性行為、しかもトイレでのものに興奮するなんて欲求不満にも程がある。
「そこっ、そこ好きぃ…ああぁ…いくっいっちゃうぅ」
声を我慢するのをやめたのか、そろそろ果てそうなのか、その両方なのか…。
声が大きくなった。