第2章 ロールキャベツ
「葉野さん!」
「は、はいっ!」
「ほんとにいい加減にしてくれる?体調悪いなら今日は帰ったら?」
「すいません…。大丈夫です…。」
今日は頭が働かない。
知らない人に犯された。
それが嫌なんじゃない。
それが嫌じゃなかった自分が嫌だ。
「また、機会があれば。」
そう言って、あの後男は立ち去った。
連絡先を交換したわけじゃない。
名前も知らない、年齢も、仕事も。
ただあの快感を体が覚えてしまった。
久しぶりだったからだけだろうか。
あの状況に興奮していたのかもしれない。
そんなことを思うと、自分の淫乱さに鳥肌が立つ。
「葉野」
「ひゃいっ」
「何その声」
と笑う同僚の村上和真。
彼は、とても優しい。
私なんかとは比べられないくらい仕事はできて、期待の新人って感じがする。
私の職場は情報系で、大企業でもないため同僚に女子がいない。
ほとんど孤立しかけている私に、彼はよく話しかけてくれる。
「昼飯食いに行かね?」