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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




「政宗殿、待ってくれっ、足が動かぬのだっ」


いつもより強い握力で手を引かれるが、毒のせいで足は満足に動かずもつれていった。

倒れる前にその腕は簡単にこの体を受け止めて、そのまま軽々と抱き抱えられた。

最初は恥ずかしくてここに収まっていられなかったものだが、もうこの腕の中にいることは慣れたものだった。

しかしその腕は少し乱暴だった。

労り包む抱え方ではなく、私の動かぬ体をただ自分の意の場所まで運ぶ、それだけに思えた。

それは彼が怒っている証拠だった。

彼が怒る理由は、ありすぎて分からない。


「どこまで連れてくのだ、政宗殿。・・・分かっている。怒ってるのだろう? ・・・それは私が松永に捕らえられたからか? それとも風魔殿に・・・」


先取りしてペラペラと話すことで彼の怒りを鎮めたかったのだが、それは逆へと働いた。

察するに「松永」という言葉を出したとき、彼の怒りは頂点に達したのだ。


「っ・・・」


大きな舌打ちとともに、私は乱暴に降ろされた。


「政宗殿っ・・・」


労ってはもらえなかったが、落とされたところは痛くはなかった。

そこは岩場から外れた林の中で、大きな木々の足元はふっさりとした草が生えそろっていたのだ。

座り込んだ私を、彼は立ったまま見下ろしている。

その目は悔しさで見開かれ、二列の歯がギリギリと音を立てて軋りあっていた。


「政宗殿・・・こ、怖いぞ、そんな顔をされては・・・」

「・・・何をされた・・・?」

「え?」

「松永の野郎はお前に何しやがった!?」


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