第1章 再会の意味
少し低くて、落ち着いた声色・・・。
政宗殿の声だ・・・。
「・・・いえ・・・紫乃です」
『・・・』
名乗ってみたが。
・・・返事がない。
襖越しに、奴がどんな顔をしているのか想像が駆け巡っていく。
驚いただろうか。
それとも、まさか本当に覚えていないのだろうか・・・。
──ああダメだ。
私やっぱり、怖くてこの襖の中に入ることはできない。
だってどんな顔をすればいいのかっ・・・
───そのときだった。
ガタッ
「!?」
その襖は、内側から開いた。
──開けたのは、中にいた政宗殿だった。
驚きすぎて心臓が止まるかと思った。
目の前の襖が開いて、そこには袴姿の政宗殿が立っていたのだから。
政宗殿も、驚いた表情をしている。
「・・・紫乃っ・・・」
名前を呼ばれると、立っているのもやっとだった。
─ドクン─
─ドクン─
あの日の気持ちにすぐに引き戻された。
あの深い口づけをされた日。
そのときの胸の高なりが、奴を一目見ただけで蘇る。