第1章 再会の意味
なんだそれ・・・。
やはり私のことなど忘れてしまっているのではないか。
あんなに情熱的なことばかり言っておきながらっ・・・
──いや、何を残念に思っているのだ、私は。
私が忘れるよう望んだのではないか。
「・・・孫兵衛。政宗殿に目通り願う」
「おう。いつもんとこにいらっしゃるはずだ」
孫兵衛は"いつものとこ"と言うだけで付き添ってはくれずに戻ってしまった。
それでもいつも政宗殿がいる場所は、もう分かっているからいいけれども。
広間にいるはずだ。
そこで刀を振っているか、磨いているか。
はたまた片倉殿と話し込んでいるか。そのどれかだ。
・・・久しく顔を見ていないからか、なんだかドキドキしてきた。
奴はどんな顔をしていただろう。
どんな声で私に話しかけるだろう。
襖に近づくと、中で彼の気配がした。
『・・・誰だ?小十郎か?』
・・・っ・・・
中から聴こえてくる声は、懐かしすぎてこの身にじんわりと染み渡っていくようだった。