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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




「・・・情けないなぁ、私は・・・」


自分でも驚いたが、気づけば目からホロリと大粒の涙が流れていた。

それがけっこうな重量を宿したまま、座り込んだ太ももにぱたぱたと落ちていく。

──会いたい・・・

風魔殿が喋らないせいか、やけに自分の心の声ばかりが聴こえる。

彼の前で気持ちを押し殺してきた反動で、こうして抑えきれなくなるときがある。

それはもはや忍だの武将だのという関係の気持ちではなかった。

政宗殿のそばにいたい、そんな女としての願望が自分の中にあるのだ。

伝説の忍を前にして、こんなに感情的になってしまうのは恥でしかないが、それでも今とばかりに気持ちが込み上げてくる。


「・・・はやく政宗殿のところへ行かなければ・・・風魔殿、此度だけ、此度だけっ、毒消しを持っていたら私にくれぬか?」

「・・・。」

「・・・無理か。そうだな。私を助ける道理などないことは分かっている。・・・分かってる。言ってみただけだ」

「・・・。」


仕方なく力を抜いて、そのまま体を床に倒した。

ひんやりと冷たい床に仰向けに横たわり、少しでも早く毒が抜けるよう深く呼吸をした。

風魔殿は攻撃などはしてこなかった。

する兆しもないため、私はなぜか緊張を解いていた。

それは間違いだったかもしれない。


「・・・政宗殿・・・」


そう呟いたとき、風魔殿が動いたのだ。


「なっ・・・!? 何をするっ!?」


冷たい山のごとく動かなかった風魔殿は、私の体の上に覆い被さってきた。

相変わらず言葉は発せず、そして今回は心の内も読めない。

床がギシ、と音を立てている。

相手が相変わらず気配を消しているせいで、こんな体勢でいるのに威圧感はわずかなものだった。


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