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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う





───目を覚ますとそこは、見慣れぬ屋敷の床の間だった。

宙を浮いているかのような意識を気力で戻すと、ここがおそらく松永の屋敷だと気がついた。

そこかしこに値打ちものが並んでいる。

私はそれらと共に並べられるように座らされていた。

おぞましく思ったが体は動かなかった。


「・・・目が覚めたかな?」

「松永っ・・・!?」


松永は私の背の方に腰かけていた。

酒を飲んでいる。


「貴様、ふざけるなっ! また私を拐って、何のつもりだ!」

「おや、それはもう伝えたはずだ。君を我が物にし、世にも珍しい竜の涙を見ようと思うてな。どうせ迎えに来るのだろう?」

「っ・・・気色の悪いっ・・・」


毒のせいで逃げ出すことはおろか、抵抗することもできそうにない。

虚勢を張っていても、心底怖い。

またあんなことをされるというのか、この男に。


「やめろっ・・・」

「・・・不思議なものだ。接吻などに意味を感じたことはなかったが・・・君を見ていると、どうやらそうでもなくなる」


嫌だ。

松永の指が私の顎を固定するように捕まえる。

口づけという行為は、他のどんな行為よりもおぞましい。
この男に一番されたくない行為だ。

政宗殿としかしたくない。

政宗殿とする口づけは、体の芯から熱くなって、心地よさに溺れてしまいそうになる。

それをこんな男に汚されたくないのに。


「・・・やめろ・・・嫌だ、絶対にっ・・・」

「物は試しだと思わんかね。君も独眼竜以外の男を知る機会があっても良いだろう?」

「・・・嫌だっ・・・離せ!」



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