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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う



「政宗殿!!」


この高さから地面に落ちれば無傷ではすまない。

政宗殿だけでも助けたくて、体勢を立て直していた私は彼の体に手を伸ばした。

しかしそれはかなわなかった。

政宗殿の体が落ちていくのとすれ違うように、私の体は岩場の頂へと引っ張られたのだ。


「なっ・・・!?」

「こんにちは、お嬢さん。」


私を引っ張りあげたのは、松永久秀だった。


「紫乃!!!」


落ちていく政宗殿の私の名を呼ぶ声が、徐々に遠く離れていく。

またこの男の手に捕らえられてしまった私は、目の前が真っ暗になった。

手首を捕まれて岩場の頂へと引っ張りあげられると、奴は私の体を抱き寄せようとした。


「やめろ!! 私に触れるな!!」

「・・・君が来てくれるとは思わなかったものでね。つい助けてしまったよ」

「離せ! 私は政宗殿のところに戻る!」

「・・・ほう、その様子だと、独眼竜と想いを交わしたのかな?」


面白そうなオモチャを見る目で、私を舐めるように見てくる。

この目が大嫌いだ。

虫酸が走る。


「伊達の足留めはこれで済んだ。今は酒の肴を探そうと思うてな。・・・己の女を奪われて、狂った竜の金眼から流れる涙・・・それにしよう」


意識は朦朧としていた。

熱はあがっていき、体の自由もきかなくなっていく。


「松永・・・貴様・・・」

「矢に塗った毒に今まで耐えていたのかな。ずいぶんと丈夫な体だ。・・・さあ、眠りなさい」


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