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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




─────


「見てみろ、いやがったぜ」


先頭を走る元親が、目の前にそびえる岩山の頂きに立つ男を、政宗殿に顎で示した。

私からは良直の背に隠れて見えていなかった。
それでも奴を見なければならない。

もう乗り越えたアイツの姿形など恐れる必要はないのに、背筋の寒気は止まらなかった。


「・・・あの野郎が松永か・・・」


政宗殿は歯をギリギリと鳴らし、まだ距離のある松永を睨み付けた。


「・・・っ」


その姿をやっと確かめた。

松永は目を閉じ、口元をニヤリとつり上げていた。

その顔は私を弄んだときに見せた表情そのもので、それを思い出した瞬間、吐き気を催した。


「お、おいっ! マジで大丈夫か紫乃?」

「・・・だ、大丈夫だ」


良直は少しだけ、馬の速度を落とす。

先頭を走っていた政宗殿と元親は岩場をかけ登り、早くも松永の足元へ届かんとしていた。

かすかに火薬の匂いがした。

以前戦ったときも、松永は爆薬を操っていた。

嫌な予感がする。


「政宗殿!! 元親!!」


馬の背を踏み台にして、二人のもとへ飛んだ。

そのせいで馬は良直ごと地上へと戻される。

しかし二人のもとへ届く前に、岩場に仕掛けられていた爆弾が次々に爆発していった。


「君の右目はここにはいない。ご苦労だったな」


奴に届く前に、岩場をが崩れていく。

奴がいる場所だけをギリギリ残し、他のものすべてがまっ逆さまに落ちていった。


「チィッ・・・・!」

「松永ぁ! テメェ!」


二人も爆発に馬の足をとられ、そのまま岩場の下へと落ちていく。

岩場の中腹まで来ていた兵たちも、爆発にあてられて馬ごと落ちていった。

どこまでも卑怯だ。

片倉殿もいないのに、わずかな可能性に掛けて約束どおりやってきた政宗殿を、こうして罠にはめるなんて。


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