第2章 右目を追う
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明朝、両軍は指定された岩山へと馬を進めた。
伊達軍の馬に元親の軍も乗せてやり、大将の乗る二頭の馬が先頭を走る。
私は良直の後ろに乗った。
「・・・大丈夫か? 紫乃、なんか体温熱いぜ?」
たしかに先程から息が熱く、体温も下がらない。
昨晩は政宗殿にあんなに迫られたせいだと思い気にしていなかったが、こうして良直に気づかれてしまうほど体調はすぐれなかった。
「心配するな。腕を射られたせいだ。傷口が塞がるまでは熱は下がらぬだろうからな」
「そうか? キツくなったら落馬する前に言えよ? 俺の前に乗せてやっからよ!」
「・・・き、気持ちだけで大丈夫だ」
たまに意識も飛びそうになるような違和感があり、確かに落馬するかもしれない、と良直の腰にしっかりとつかまった。
良直の鎧は、ひんやり冷たく感じた。