第2章 右目を追う
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真っ暗な森の中で、松明の光だけを頼りに皆身体を休めることとなった。
静かな夜だが、伊達・長曾我部両軍は寝付かずに、いつまでもお互いの大将の武勇伝を語り合っている。
元親はさっさと身体を横に倒し眠っているが。
明朝はすぐにでも岩山へ向かい、片倉殿を取り返しに行くのだ。
政宗殿は軍から少し離れたところで、木にもたれて座っていた。
「政宗殿」
「・・・よう。どうした。眠らねえのか」
何か物思いに耽っていたのだろうか。
月を見ているように見えた。
「政宗殿は寝ないのか」
「俺は適当なとこでそこの鬼を起こしてから寝るぜ」
「・・・そうか」
「お前は寝てろ」
「いや、私もお前が寝るまで起きている」
隣に腰をかけると、政宗殿はまた月を見た。
片倉殿を取り戻せるのか、不安なのだろう。
あの松永が約束どおり片倉殿を連れているとは限らない。
そしたら奴のところへ出向くこと自体、無駄足なのかもしれない。
もしそうだったら、やるせないだろう。
それでも行くしかないのだ。