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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




「だ、大丈夫だ政宗殿、かすっただけだ。これくらいなんともない」

「ちくしょう、誰だ・・・」


すると佐間助が、木に刺さった矢を抜いた。


「筆頭! これ、文がついてます!」


くくりつけられた文を広げた佐間助は、顔を歪めた。
そしてすぐに苦い顔のまま政宗殿に手渡す。


「・・・政宗殿?」


字を追っていくにつれ、彼の顔つきは険しくなっていく。

元親も、様子のちがう政宗殿に眉を潜めた。


「誰からなんだ?」

「・・・松永久秀・・・だとっ・・・」


─ドクン─


松永久秀。

忘れかけていたその名前を聞いたとたんに、記憶が蘇るように心臓が鳴った。

身体中に走る嫌悪感。

あの這い回る手の感覚。


「なっ・・・・なんで、松永が・・・生きていたのかっ・・・」


ガクンと膝が崩れ落ちた。

四人組が駆け寄って支えてくれるが、私がなぜこんなにもうろたえているのか分からぬ様子だ。

・・・松永の屋敷。あそこで私が何をされたのか。
それを知るのは、今は政宗殿だけなのだ。


「それで、松永は何て言ってきやがったんでぃ?」


元親は目を細めてそう尋ねた。


「・・・豊臣に奪われてるうちの副将が、この先にいる。松永が人質にとって待ってやがるそうだ」

「・・・松永、そいつはちょいと俺の軍も世話になってな。・・・あの野郎、今度は豊臣についたってわけかい」


トドメをさし損ねたことに後悔した。

でもアイツが豊臣につくだろうか。

戦にはおよそ興味がなく、人の絶望を酒の肴にするような奴なのに。

・・・きっと、何か企んでるに違いない。


「政宗殿・・・行くか?」

「行くしかねぇだろ。こうしてフザけた真似された以上、落とし前をつけに行かなきゃならねぇ」


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