第2章 右目を追う
「いいかげんにしろ! 意地を張り合っていたら進まないじゃないか!」
終わらない言い合いに、ついに私は口を挟んだ。
「なんだと紫乃! こいつの下につけってのか!?」
「ち、違う、そういうことではなくてっ・・・」
「独眼竜さんよぉ、そうすぐに女っこに怒鳴り声を上げてちゃ、愛想つかされちまうぜ」
「あぁ"!?」
「あーもう! やめろ二人とも!」
隣に座っている政宗殿の胸を押し戻して、掴みかかろうとしている体をなんとか留めた。
───そのときだった。
ヒュッ
「「!?」」
南の方角より、視界の端をかすめるように矢が飛んできた。
勢いよく空を切り、目に留まらぬ速さで二人の間を通りすぎ、一番近くの木の幹に突き刺さる。
「うっ・・・」
しかし突き刺さるその前に、矢は私の腕をかすった。
「紫乃・・・!」
政宗殿は私の体を寄せて、血が出ている腕を労るように触れてきた。
元親は矢が飛んできた方角を睨みつけ、錨を構える。