第2章 右目を追う
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伊達は政宗殿を先頭に、先を急いでいた。
お館様に聞き損じてしまったが、幸村様はどうしているのか気になって仕方がない。
無事に薩摩に着いただろうか。
──深い山道に入っていった。
あたりは暗くなってきて、もうじき日が落ちる。
「・・・」
先程から、山の茂みからたびたび視線を感じるようになっていた。
伊達軍は誰も気づいていない。
・・・おそらく視線は私に向けられている。
嫌な視線ではない。
忍隊の誰かだ。
「政宗殿、ちょっと離れる」
「あぁ? どこへ行く」
「うちの忍から連絡があるようだ。行ってくる」
先頭の政宗殿に断りをいれ、列から徐々に外れていく。
──茂みの影は私を誘導するように山中の滝の側へと移動していくので、それに従った。
この人はきっと・・・
「佐助様ですか?」
茂みの影に向かって声をかけてみると、そこからひょこっと、頭が出てきた。
「よく分かったねぇ、#name#」
「やっぱり! どうしたのですか?」
「んー? いやちょっとね、いくつか話があってさ」
滝の落ちる岩場には、離れていく伊達軍の馬の足音が、だんだんと滝にかき消されていった。
私たちはその岩場の凹凸に並んで腰かける。
佐助様は1本指を立てて話し出した。
「さっきの紫乃の様子を見てたけど、旦那がどうしてるか気になってるんでしょ?」
「っ・・・」
相変わらず佐助様は、先回りして私の心の中を当ててしまう。