第1章 再会の意味
「あやつにはそれほどの価値がある。・・・それは紫乃、お主が一番良く知っておるのではないか?」
・・・それは、そうだけどっ・・・
「あの男が私のことをどう思っているかなど、今は分かりませぬ。それに私がいなくとも、いつだって片倉殿が政宗殿の抑止力となっているはずです。」
「・・・嫌な予感がするのじゃ。潜伏侵略は奥州にも及んでおるはず。・・・おそらく独眼竜が最も不得手とする攻め方。奴の腹心のみが全ての重圧を背負っている気がしてならぬ。・・・紫乃。織田のときと同じじゃ。お主の思うとおりに奴を導け」
「お館様・・・」
「少なくとも、独眼竜とその右目にとって、敵でありながらお主は信頼できる唯一の存在。・・・日ノ本が傾いている今、わしはお主を奴等に貸しおいてやろうという気になったのじゃ。」
・・・お館様の仰りたいことは、最後まで納得することはできなかった。
でも、政宗殿は私を必要としていて、それに応えるべき時は今だということ。
日ノ本のために今、私は再び伊達につくべきだということ。
・・・そう言われては、断ることなどできないではないか。
────こうして私は、再び奥州へと向かうこととなったのである。