第1章 再会の意味
「あーあー、紫乃、違うからね?旦那みたいな男はさ、雑念が入ると目的を見失っちゃうんだよ。別に紫乃が責任感じることじゃなくて、旦那が自分で強くならなきゃだめっていうか。ね?」
なにやら佐助様が助け船のようなものを出して下さったけれど、私は自分の力不足に悔しくなるばかりだった。
私では幸村様を導く力はないということなのか。
それどころか、足手まといとなって道を阻んでしまうというのだろう。
「・・・・では、奥州へ行く理由は何なのですか」
幸村様に同行できぬからといって、奥州へ向かう意味はないはずだ。
納得がいかずにお館様の顔をじっと見据えた。
「うむ。紫乃が幸村に同行すれば視野を狭めると申したが、独眼竜には逆に転じるのじゃ。」
「・・・と、仰いますと?」
「独眼竜は先を見据えるばかり、己が身を省みぬ兆しがある。幸村とは逆に、紫乃が側に居れば、それにより独眼竜は身の在り方を考えることを余儀なくされるはずじゃ」
「・・・?」
どういう、意味なのだ・・・?
「だからつまりー、竜の旦那は惚れた女が側にいると、自分の前だけじゃなくて足元も見るようになるってことだよ。視野が狭まるうちの旦那とは逆の気質ってこと」
なっ・・・・
「そんなことのために私が奥州へ向かわねばならぬのですか!? ・・・お、お、御言葉でこざいますが、お館様は少々、政宗殿のことを幸村様と同様に目をかけていらっしゃるように思えてしまいます! お館様がそこまで面倒を見られるような価値が、あの者にっ・・・」
「ある」
ずっしりと、お館様は答えた。