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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




謙信殿は、私の耳もとで囁き始めた。


「・・・紫乃には、私とかすががどう見えていますか?」

「そ、そんなの、とっくに似合いの恋仲だと思っています! かすが殿の一途な心もしかり、彼女に対する謙信殿の愛情も深い。お二人の絆がどれほど強固なものか、見ていてすぐに分かります」

「フフッ・・・」

「謙信殿・・・?」

「・・・紫乃とあの竜も、そうなのでは・・・?」

「っ・・・!」


本当に、本当に謙信殿は食えないお人だ。


──すると、すぐに謙信殿は耳に寄せていた顔を離した。


「・・・おや、怒らせてしまったようですね」


私の背後には政宗殿がやってきていた。

すると彼は馬に乗ったまま、私の体を謙信殿の馬の上からかっさらった。

乱暴に政宗殿の馬に乗せられると、がっしりとその腕に抱えられる。


「アンタもこの俺を足止めしてcool downさせるとは、乙なことしてくれるじゃねぇか。・・・だが、世間話なら甲斐のオッサンとしてきな。残念だがコイツのレンタルはしてねーんだ」

「そうですね。紫乃は私の友ですが、今はそなたと共に戦う剣。・・・私にも美しき剣がそばに在りますから・・・そなたから奪う気など、ありませんよ。・・・しかし大阪でそなたが倒れることあらば、奥州ともども、私が引き受けましょう」

「 フッ・・・アンタも相当食えねえ奴だよな」


二人のやりとりが心に滲みた。

大阪へ攻め上らんとする政宗殿を、謙信殿は激励しているのだ。

にらみ合う中に笑みを浮かべている。


上杉全軍が撤退を終え、伊達軍は人取橋を渡った。



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