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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第2章 右目を追う




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幾日か経っても、上杉軍は動く気配を見せなかった。

早く大阪へ行きたい。

皆そう思っていたはずだが、この数日で兵たちや政宗殿の様子は変わっていった。

このつかの間の休息で滋養に専念するとともに、政宗殿は時折ボーッと考え込むような仕草をする。


「・・・政宗殿?」

「・・・なんだ」


床几(しょうぎ)に腰掛けている政宗殿の隣に、私も膝をついて腰を落とした。

政宗殿は気だるげに膝の上に肘をついており、目線を私に落とす。


「・・・急いていると思ったから、お前がこうして素直に足を留めるとは思わなかったぞ」

「フン。あの軍神が何を考えて兵を置いてるかなんぞこの際どうでもいい。・・・忘れねえモンだな。ここは俺が奥州平定を遂げた戦場だった」


彼の目は、どこか遠くを見ていた。

思い入れのある戦場なのか。

・・・ここで奥州平定を成し遂げた。

それはめでたいことのはずだ。


・・・でも、政宗殿が考えていることは手に取るように分かった。

時折幸村様も、同じ目をすることがあるのだ。

仲間を犠牲にして戦に勝ち、その地と名声を受ける。
それは時に大きな疑問を感じてしまう。

そのことに、政宗殿も思いを巡らせているのだろう。


「・・・でも、今の奥州は政宗殿に守られている。豊臣からも守りきったのだ。・・・政宗殿は間違っていない」

「フッ・・・」

「なっ、何が可笑しいのだ」


すると政宗殿は私の髪に触れる。

思わず言葉を飲み込んでしまった。


「俺はまだ何も言ってねぇ。・・・先回りして頭ん中を読まれちまうとはな」


・・・っ・・・

そう言われて初めて、彼の心の内ばかりを考えていることに気づいた。


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