第1章 再会の意味
「馬鹿だな、政宗殿は!」
「・・・あ?」
「片倉殿ほどの腹心を拐われて、なぜ今までと同じでいられると思うのだ。政宗殿を支えていたものを失えば、傾くに決まっている」
こちらを振り向いた彼の顔を、まっすぐ見つめた。
できるだけまっすぐ、強い瞳で。
大丈夫。大丈夫だ。
「私だって片倉殿がいなくなって不安だ。だから取り返しに行こう! その手伝いをさせてくれ。私は何か間違ったことを言っているか?」
「・・・フッ、お前、ほんと俺の話聞かねえんだな」
「お前こそ、私の気も知らずによく帰れなどと言えたものだな。・・・政宗殿には信頼を置く多くの兵がいる。里の者もいる。奥州の地もある。・・・・それに、私もいる」
「・・・」
「すまなかったな。1つも欠けてはならないのが伊達の流儀であった。ならば私も欠けてはならないはずだ。・・・だから安心しろ。もう、死んだりしない」
言葉を惜しむことはしなかった。
今の気持ちをすべて正直に言葉にした。
いつか政宗殿が私を励ましてくれたように、私もお前にとって、そんな存在になりたい。
守られてばかりではない。
道に迷えば、私の手をとってほしい。
だから私は死ねないのだ。
──政宗殿の表情は、じわりじわりと解されていくように変わっていった。
彼の心を少しでも解きたい。
やがて政宗殿の顔は、少しずつ私に近づいてくる。
「・・・なんでお前はそう、いちいち俺を溺れさせるんだろうな」
「・・・政宗殿っ・・・」
「・・・kissさせろ。悪いが待てねえぜ」
落とされた口づけが、この身に滲みていく。
熱い吐息を絡ませながら、私たちはしばらく、それを止めようとはしなかった。