第1章 再会の意味
「・・・政宗殿」
「っ・・・」
彼の背に私の心臓をつけるようにして、背後から身を寄せた。
この心臓の音を聞いてくれ。
お前のそばに私はいる。
政宗殿の不安な顔は、見たくない。
私も一緒に背負いたい。
こんなときだからこそ、不安を分け合いたい。
「政宗殿、心配せずとも片倉殿は死なぬ」
「・・・・・んなこと分かってる」
動揺しているのか、彼の声は低い。
「だから私も死なぬ」
「・・・」
「なんとしても生き延びて、お前の側にいる。約束する」
「・・・紫乃。お前・・・」
政宗殿は、彼の腹の前で組んでいる私の手に触れた。
その手からじわじわと感じる。
彼が抑えていたもの。
「・・・小十郎がいなくなった途端、俺は兵を減らした」
抱き締める腕に力を込めた。
彼の正直な気持ちを聞いた途端、想いが溢れてしまいそうだった。
片倉殿に頼っていた自分。
いなくなったことへの喪失感。
それを誰にも見せることができなかった責任の重さ。
それが彼の背から伝わってくる。
ああ、こんな彼に、私は私の死を見せようとしたのだ。
そんなこと、政宗殿はちっとも望んでいないのに。