第1章 再会の意味
──政宗殿の気持ちは、分かっているつもりだ。
でも守られているだけなんて嫌なのだ。
政宗殿が私を特別だと言ってくれたとしても、私は忍。
主君のために仕え、戦い、その果てに死があったとしても、それを避けるわけにはいかない。
「政宗殿! いるか!」
広間の襖を思いっきり開けると、立ち尽くしている政宗殿がいた。
────っ
「・・・・なんだ、まだいやがったのか。諦めて帰んな」
振り向いた政宗殿はそう言ったが、私は見逃さなかった。
振り向いたとき、一瞬見せた政宗殿の表情は、喪失感に苛まれていたのだ。
すぐに険しい表情に戻しても、その裏に隠れた寂しさやもどかしさは消えていない。
そしてその手には、竹中半兵衛に拐われたとき片倉殿が落としていった刀・黒龍が握られている。
「・・・政宗殿・・・」
「聞こえねぇのか! 甲斐に帰れっつってんだ!」
・・・こんな政宗殿を、置いて帰れるわけないだろう。
片倉殿が拐われて、一番喪失感を味わっているのは政宗殿なのだ。
「・・・政宗殿。片倉殿がいないのはそんなに堪えるか?」
「・・・・・テメェ俺を怒らせてぇのか?」
「なんと言われようと、私は帰らぬ。ここにいる」
「お前の顔はもう見たくねぇ。さっさと消えな」
悪態はきっと全て、政宗殿の不安の表れだ。
この背に多くのものを背負いすぎている。
一緒に背負ってくれていた片倉殿がいなくて、不安でないはずがない。
──大丈夫だ、政宗殿。
私はそばにいる。