第1章 再会の意味
──夜が明けた。
あれから政宗殿はまともに口をきいてくれない。
訪ねても「帰れ」の一点張りだ。
本気なのだろうか。
私が死ぬ。それは政宗殿が耐えられぬことなのだと、昨夜言われた。
・・・それはなんとも甘美な響きだった。
こんなことに嬉しさを感じては忍失格だと思う。
でもそれは私も同じだからよくわかった。
もし私の盾となり政宗殿が死ぬようなことがあったら、私は自分を悔いて悔いて、それはもう殺してしまいたいくらいに悔いるはずだ。
・・・悪いことをしたかもしれない。
心配かけて、不安にさせてしまっただろうか。
ただでさえ、片倉殿がいなくて不安なはずなのだ。
・・・私まで彼を苦しめてしまった。
──しかし。
詫びの言葉を、とも思ったがそれは打ち消された。
政宗殿は私を軍議に参加させることを拒んだというのだ。
「文七郎、それで、この後はどうなる?」
仕方なく、軍議に出た兵に内容を聞く他なく、こうして文七郎を頼るしかなかった。
「・・・すぐに大阪へ出陣しなきゃなんねぇ。片倉様を取り戻すんだ」
「そうか。日はいつだ?明日か?」
「・・・。」
「・・・文七郎?」
歯切れが悪くなり、文七郎は悩ましくうつ向いてしまった。